【潜入特集 Vol.2】オフィシャルメンテナンスと”Yチェアの匠”
2016/03/17
潜入取材当日、4脚のYチェアが運び込まれました。本体の木はあめ色に年季が入り、座面のぺーパーコードが切れた、お世辞にも状態がいいとは言えないYチェアです。
4人家族のお宅から運び込まれたものだそう。「ご自宅で使われていた方が、ペーパーコードを張り直したいと持ち込まれました。おそらく30~40年くらいは使われているものですね。」(吉岡さん)

カール・ハンセン&サン ジャパンではオフィシャルな製品メンテナンスサービスを提供しています。
多くの海外メーカーが本国に送り返してのメンテナンスに対し、カール・ハンセン&サン ジャパンは国内対応。納期の早さ、費用の安さ、いずれの面でも愛用者には嬉しいサービスです。
一番多いメンテナンス依頼は、Yチェアの座面ぺーパーコードの張り替え。価格は、張り替えを含むフルメンテナンス、そして完成品お届けの配送費用込みで2万5000円です(詳細は本ページ下部に記載)。
「20代の若いお客様が古いYチェアを持ち込まれることがあります。オークションかなにかで購入したのかと尋ねたら、『元は父のもの。実家の両親が使わっていた椅子を譲り受けて使う』というお話でした。代々受け継いでいくという文化が少しずつ広がっているように感じます。」(吉岡さん)
依頼を受けた製品が運び込まれる先は、倉庫に併設されたリペア工房。
「アメリカ、香港などカール・ハンセン&サンの拠点は世界各地にありますが、メンテナンスサービスを行っているのは本国デンマークと日本だけです。」(吉岡さん)
主要なパーツもすべてこの工房にストックされていて、デンマークからの取り寄せを待つことなく交換、修理が行われます。メンテナンスにかかる期間はおよそ2週間。早いときは1週間で納品されることもあるそう。デンマークに送るとゆうに1ヶ月はかかることと比べれば圧倒的な短納期です。
「毎年、1万近くのYチェアが日本市場に出ています。それが何十年も続いているわけですから、日本にはたくさんのメンテナンスを必要としているYチェアがあるはず。適切なメンテナンスをすることで、少しでも長く使ってもらいたいと思っています。」(吉岡さん)
手入れをすれば何十年も使えることが世界中の愛用者によって証明されているYチェア。しかし、誤った方法でメンテナンスをするとせっかくの品質が下がってしまうこともあります。正しい技術を持たない業者でぺーパーコードを張り替えて失敗したという声も少なくありません。オフィシャルなメンテナンスが受けられる日本は、世界の中でも恵まれた状況と言える気がします。
リペア工房を国内に置くことは、当然コストのかかること。それでも「長く使い続けたいと願う人のためになくてはならないもの」と語るカール・ハンセン&サン ジャパン。そして、少しでも早く美しいメンテナンスをするために技を磨く職人さんの情熱を目にしました。
カール・ハンセン&サンが目指す「長く使える」は、製造して使ってもらう1世代だけでなく、メンテナンスして再び使う2世代、3世代、そしてその先までを見据えたより壮大な「長く使える」でした。

▽修理受付(予約制)
対象:カール・ハンセン&サン社の全アイテム
メール:repair@carlhansen.jp
※土曜・日曜・祭日定休/夏季・冬季休暇あり
▽Y チェアのペーパーコード張替
価格:2万5000円(税抜)/1脚
※ブラックペーパーコード、ホワイトペーパーコードは3万5000円(税抜)
※最終確定価格は工房到着後に連絡
※2018年3月時点
Writing・Edit:塩見直輔
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